東洋医学というと、漢方薬をイメージする人が少なくないでしょう。日本では漢方薬を投与する漢方医学と、鍼やお灸を使った治療の鍼灸医学とを組み合わせて、東洋医学と呼んでいます。漢方は病院で処方されるだけでなく、ドラッグストアなどでも販売されているため、身近に感じている人は多く、その影響で漢方薬が東洋医学のイメージに重なっているのかもしれません。
ちなみに漢方薬は、基本的には経口投与されるものであり、注射で直接血管系に投与されることはありません。漢方薬は、複数の生薬を組み合わせており、生薬の多くが消化管の中の腸内細菌や消化酵素などを活性化させることで、治癒効果を発揮するようになっています。例外的に漢方薬を座薬として使用することはありますが、このような背景から、漢方薬は経口投与が中心となっているのです。
また、漢方薬は、病原菌を直接殺したり、特定の臓器に強く作用したりするというものではないのも特徴でしょう。それよりも、体の抵抗力を高めたり、免疫力を調節したり、消化吸収力や新陳代謝を高めたりするように調合されています。したがって、病気を治すというよりも、患者自身の治癒力を高める役割を担っているといったほうがいいでしょう。そのため、西洋医学で用いられる薬に比べると、身体に優しく、マイルドに作用します。ですから、強い薬を使いたくない方や、緊急を要さない方の治療に向いている薬と言えるかもしれません。最近では処方薬として漢方薬を好んで使用する病院もあるので、体に優しい薬を希望する場合はそういった病院を選ぶのが良いかもしれません。